
糖尿病
糖尿病
糖尿病(とうにょうびょう)とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気です。通常、血糖は体にとっての重要なエネルギー源ですが、過剰に増えると体にさまざまな悪影響を及ぼします。糖尿病は一度発症すると、完治は難しいとされており、一生にわたっての管理とケアが必要になります。放置すると、視力障害、腎不全、足の壊死、心臓病、脳卒中など、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
私たちが食事をすると、炭水化物(ご飯やパンなど)が消化されてブドウ糖として血液中に吸収され、血糖値が上がります。このとき、膵臓(すいぞう)という臓器から「インスリン」というホルモンが分泌され、ブドウ糖を体の細胞に取り込ませて血糖値を下げる働きをします。糖尿病は、このインスリンの働きが不足している、またはうまく機能しないことで、血糖が体内に溜まってしまう病気です。
糖尿病には主に次の4つのタイプがあります。
以下のいずれかに該当すると「糖尿病型」と診断されます(空腹時採血が基本)。
検査項目 | 基準値 |
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空腹時血糖値 | 126mg/dL 以上 |
随時血糖値 | 200mg/dL 以上 |
75gOGTT(2時間値) | 200mg/dL 以上 |
HbA1c(ヘモグロビンA1c) | 6.5%以上 |
※2回の検査で同じ結果が確認されることで、確定診断されます。
糖尿病の初期段階では、ほとんど症状がありません。そのため、自覚症状が出たときにはかなり進行しているケースも多くあります。
糖尿病の怖さは、**血糖が高い状態が長期間続くことによって起こる「合併症」**にあります。特に細い血管や神経がダメージを受けやすく、全身にさまざまな障害が現れます。
合併症名 | 内容 |
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糖尿病網膜症 | 失明の原因にも。網膜の血管が障害され視力低下。 |
糖尿病腎症 | 最悪の場合、人工透析が必要に。腎機能の低下。 |
糖尿病神経障害 | 手足のしびれ、感覚異常、排尿・排便障害などが起きる。 |
糖尿病は完治する病気ではありませんが、適切な管理を行えば健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
食事と運動だけで改善が難しい場合、医師の判断で薬物治療が行われます。
薬の種類 | 主な作用 |
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ビグアナイド系 | インスリン抵抗性を改善(例:メトホルミン) |
スルホニル尿素薬 | インスリンの分泌を促進 |
DPP-4阻害薬 | インクレチンを活性化してインスリン分泌を促進 |
SGLT2阻害薬 | 尿から糖を排出させる(体重減少効果あり) |
糖尿病は、生活習慣の改善で予防可能な病気です。特に2型糖尿病は、以下の点を守ることで発症リスクを大きく下げられます。
糖尿病は「一生つきあう病気」ですが、悲観する必要はありません。血糖をしっかり管理し、生活習慣を見直すことで、合併症を予防し、健康な生活を送ることができます。近年では、血糖値を測る機器や薬も進歩しており、患者様のQOL(生活の質)も大きく向上しています。医師や管理栄養士など、専門家と連携しながら、自分に合った管理方法を見つけていくことが大切です。
糖尿病は放置すると重篤な合併症を招く恐ろしい病気ですが、早期発見・早期治療により、その進行を食い止めることができます。日々の生活習慣を見直し、定期的な検診を受け、自分の健康と向き合う姿勢を持つことが何より大切です。